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A piece of me

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2010年 11月 03日

その遠い国の言葉で





その遠い国の言葉で_e0164867_7204849.jpg







「温海」


櫂の先に
絡まる海
漕ぐ度に伝わる
波の喘ぎ

舟は優しく
時に激しく
項垂れた大気の中で
君の上を滑る

過ぎた優しさが
壊していくもの
重ね合った掌の中
意味の無い落書きを
混ざり合う汗が消す

遠雷が遠く
慟哭のように
君の名を呼ぶ

傘もなくあてもなく
口ずさむ夢も無く
濡れそぼつ砂利道を進む
不似合いな色のシャツ

容赦なく来る夏に
追いつかない心を
あの木々の枝に刺して
腐らせてくれる
鳥に渡しておくれ

溜め息に似た音で
降り続ける雨が
残された僕の
渇いた心を覆う

雨の中で無く
君の中で泣く
閉じた門の中に
もう一度僕を入れて
台無しにしておくれ

この雨を言い訳に
もう歩いてはいけない
すれ違う誰かが異なる水の
痕跡に気が付くから

堕ちていく先も
光も闇もいらない
ただ

僕の脊髄に爪を立てて
きつく抱き締めたまま
君の温海の底に
深く深く
沈めておくれ









                   その遠い国の言葉で

                   「男と女」 「家族」 「瞬間」他、6つのテーマを切々と歌い上げる珠玉の作品集




                   著者略歴
                   長島理生 (ながしまりお)
                   1962年、東京生まれ。
                   20代から詩作を始め、「鳩よ!」などの詩誌において、
                   詩作品の入選を重ねる。
                   作詞も手がけ、KANのアルバムなどに作品を提供している。







先日から気になっていた 美しい表紙の一冊

こちらに訪問して頂き

私も更新をされると 記事を楽しみに伺うようになった

「立呑屋」 の gauche3さんの詩集をネットで購入しました

女性の私に感じることの出来ない

大人の男性の言葉で綴られた詩集です。

by malilou | 2010-11-03 08:18 | book


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